ステンレスのお手入れについて
ステンレス鋼の表面は不動態皮膜と呼ばれる主にクロムに酸素と水酸基が結合した非常に緻密で密着性の高い膜で覆われています。この皮膜は引っかきキズ等で一部除去されても酸素があればすぐに再生される性質を持っています。いつまでも続くステンレスの錆びにくさや独特の光沢感はこの強い皮膜のお陰で保たれています。
ステンレスのお手入れといっても普段は特別なことは必要ありません。水洗いをした後、乾拭きして水気を取ってください。ヘアライン仕上げの部分は目に沿って洗うようにしてください。
避けて欲しいこと
酸やアルカリ性の洗剤は不動態皮膜を傷めますので使用しないで下さい。付いてしまった場合は、入念に水洗いをし、水気を取って下さい。また金属タワシや研磨剤入りの洗剤は傷を付けますので使用しないでください。鉄やアルミ等の異種金属製品と接触させたまま長期間放置しないようにしてください。
あかや指紋などの汚れ
水洗いだけでも落とせることが多いです。洗剤を使うときは必ず中性洗剤を使って下さい。柔らかい布に洗剤を含ませ丁寧に拭きます。ヘアライン仕上げのものは目に沿って拭きます。拭き終わった後は入念に水洗いをし水気を取って下さい。
もらいサビ
空気中の鉄分がステンレス表面に付着し、茶色くシミのように錆びる「もらいサビ」という現象があります。目に見えないほどの鉄の粒子が飛び交っており、程度の差はあれどの地域でも起きる可能性があります。線路のそばや海辺などでは通常より程度がひどい傾向があります。
もらいサビの例(参考写真)
写真の状態くらいであれば、サビは不動態皮膜の上に乗っているだけかステンレス鋼のごく表面に留まっているので比較的楽に落とすことが出来ます。カーボディー用の液体コンパウンド(3000番くらいで平気です)で力を加減しながら拭いて下さい。拭いた後は入念に水洗いし、水気を取ってください。
もらいサビが出ていなくても水洗いしておくと表面に付いた見えない鉄分を落とせてサビの発生を軽減できると思います。
寒冷地でも使えますか?
不凍(水抜き)式ではありませんので、寒冷地でお使いいただく場合は水抜き栓と共に設置をお願いいたします。
また 比較的温暖と言われる地域でも凍結による破損のご相談をいただいております。シーズンに何度か来る寒波の時などはケアが必要です。凍結による被害を防ぐには根本的には水抜き栓の設置になりますが、簡易的に出来る対策についても触れていますので「凍結について」もご覧下さい。
施工はお願いできますか?
大変申し訳ございませんが承ることが出来ません。
条例等での規制事項や給湯の正しい理解が必要な場合もございますので、施工はお住まいの地域の指定工事店にご依頼下さいますようお願いいたします。
凍結について
凍結するとどうなりますか?
室内と違って、屋外にある シャワー水栓柱・蛇口の大敵は寒さによる凍結です。「うちは寒冷地でないから大丈夫」という声をよく聞きますが、凍結破損のご相談をいただくのは「比較的温暖な地域にこの冬一番の寒波が来襲した」後が最も多いのが実情です。
水は凍る時に体積が約10%増えます。水栓柱などの蛇口ハンドルを閉めると配管内に水がいっぱい詰まった状態になります。この閉じ込められた水が凍って膨張し、耐えきれなくなったときに凍結破損が起こります。
サーフシャワーは水道圧の約4倍の圧力にも耐えられるようになっていますが、凍結する際の圧力は桁違いの力になります。凍結による圧力封じ込めるには潜水艦を作るつもりでないとダメだと言われることもあります。
現実問題としてこの圧力に耐えるように作るのはかなり難しいため他の工夫が必要になります。
凍結させないためには
- 「水抜き」をする
凍結するのは配管内に水があるからなので、その水を抜いてしまえば良い。 というのが水抜きの考え方です。一番確実な方法で寒冷地では当たり前のように実施されていますが、実は 通常の水栓柱では水抜きをすることが出来ません。
水抜きをするには、「水抜き栓」と呼ばれるものを別途設置する事で簡単な操作で水抜きが出来ます。 - 蛇口や本体にタオル等を巻いて断熱する
●蛇口にタオル等を巻いて断熱しておくとかなり効果があります。
●サーフシャワーはデザイン上 配管が露出していますのでパイプカバーなどで保護してください。 - 蛇口の先にホースリール、ハンドシャワーを付けっぱなしにしないで下さい。
- 少量の水を流し続ける
少量の水を流し続けます。流水は凍りにくい性質を利用した方法です。
※ 凍結破損を防ぐ根本的な方法は 1.しかありません。2.4.の方法を採ってもその時の気温やその気温が続く時間によっては凍結してしまいます。また 気温が0℃以上でも、風の強い日は凍結することが知られています。
凍結が原因による破損は、保証対象外となります。出来るだけ水抜き栓の設置をお願いいたします。
凍結してしまったら
蛇口ハンドルが回らない(回りにくい)場合は、無理に回さないで下さい。内部のパッキン等を傷める恐れがあります。
急がなければそのまま自然に解凍されるまで待つことをおすすめしますが、お急ぎの場合は蛇口にタオルを巻き、40℃程度のぬるま湯をかけてゆっくり解かして下さい。
ハンドルが固くなった
蛇口ハンドルやバルブ類が内部からの圧力を受けた後、固くなることがあります。その場合は以下の手順のように一度分解して組み直していただくと改善することが多いです。
- 水栓柱の給水元栓を閉めます。
- 蛇口のカバーナットをモンキースパナ等で回します。
- ハンドルを回し、スピンドルを上下します。(ハンドルとスピンドルは一体物です)
- カバーナットを締め付けます。
- 給水元栓を開け、蛇口カバーナットから水漏れがないことを確認します。水漏れがある場合は、カバーナットを締め込んで下さい。
- ハンドルが回転することを確認します。
※ 大変申し訳ございませんが、凍結による破損は保証対象外となります。できる限りの予防をお願いいたします。
凍結防止法は特に何かありますか?
凍結防止に関する一般的な方法は「凍結について」をご覧下さい。
サーフシャワーに関する方法をご案内いたしますが、いずれも根本的な凍結対策ではありません(やはり水抜き栓の設置が一番確実となります)。以下をご参考に状況にあった対処をお願いいたします。
- サーフシャワーM
・混合用止水栓(給水バルブ・給湯バルブ)は閉め、その他のバルブは開けると、シャワー配管内の水抜きが出来ます。蛇口なしの機種でもシャワー止水栓は開けて下さい。
お湯が使える商品はありますか?
水道と給湯器からのお湯も配管できる混合栓タイプの「サーフシャワーM」があります。混合栓とは、お湯の量と水の量を調節して湯温を決める方式です。
海辺にサーフシャワーを設置したいのですが長持ちしますか?
サーフシャワーのほとんどの部分に使われているステンレスについては、腐食してボロボロになってしまうような心配はあまりありません。機能の点では海辺でも長く使っていただけると思います。
ただし外観上の点では、内陸部よりケアが必要です。
海風で巻き上げられた塩分・砂鉄分によってステンレス表面やメッキ部分の劣化が早い傾向にあります。
ステンレス部分は、もらいサビが発生しやすくなります。特に砂鉄が表面についたまま長く放置されるとかなり目立つサビが発生します(正確にはステンレス自体が錆びたのではなく表面についた鉄分が錆びているのですが)。
またメッキ部分は、プツプツとした感じになったり剥がれたりが通常より早く起こります。
いずれの場合も悪影響を与えるものが製品表面に長く付着していることが問題なので、できるだけ早く取り除いてください。
もらいサビが目立たないうちは、製品表面を水で十分洗い流してください。できれば乾拭きして水気を取ってもらうとステンレスの特長である強い皮膜が均一にできます(ステンレスが酸素に触れると形成されるので)。またもらいサビが発生した場合は、カーボディ用の液体コンパウンドで磨くと落とすことができます。メッキ部分の曇っている部分にも効果があります。
なお 磨きすぎはかえって製品を傷める場合がありますので加減しながら実施してください。
「ステンレスのお手入れについて」もご覧ください。
バルブを閉めてもシャワーヘッドからしずくが長くしたたり落ちるのですが
シャワーを使っていてバルブを閉めた時、バルブからシャワーヘッドまでの配管中は水がいっぱい詰まった状態になっています。特に大型のシャワーヘッド内にはコップ1杯分くらいの水が残っています。
その水が抜けるには代わりに空気が入らなければならないのですが、この場合空気穴になるシャワーヘッドの穴からは意外と空気が入りづらいものです(ヘッドが水平に近いほど空気が入りづらいです)。一気に抜けない水がいつまでもポタポタ落ちることになります。
お風呂などに使われているシャワーヘッドと違い、シャワーヘッドが大型なことと、下向きになっている点でこのようになりやすいです。
ある程度の時間で止まるなら問題はありません。
また施工後間もない場合は、次のような可能性もあります。
工事中に水道管内に入ったゴミ・砂、塩ビ水道管の接着剤のカス、シールテープのクズがバルブにはさまってきちんと閉まらないケースです。
翌日もポタポタ落ちているようでしたらバルブがキチンと動作してない可能性がありますので、その場合は工事業者にご相談ください。
使っているうちに蛇口の変化はありますか?
蛇口は青銅、黄銅などから出来ています(家庭で使用されている一般の蛇口と同じです)。製品表面の仕上げ、使用される場所の環境、気象条件によって異なりますが、時間と共に変色、緑青の発生が起こり得ます。(昔は緑青は毒性があると言われていましたが、旧厚生省よりそうではないと公表されています)